精密機器、産業技術、エンタープライズソフトウェアやプロフェッショナルサービス分野における日本企業は、近年海外市場への展開をますます重要視しています。このような企業にとって、英語版Webサイトの構築はグローバル市場における認知度を高めるうえで、最も効果的なプロセスの第一歩となります。
英語版Webサイトは、企業の「グローバルサイト」としての役割を担い、技術力、認定資格、成功事例などを海外のバイヤーやパートナーに向けて提示する場となります。特に、製品が特徴的で、販売サイクルが長い医療機器、B2B SaaS、機械分野の企業にとって、専門的に設計された英語サイトは大きな利点となります。
1. 海外のB2Bバイヤーへの理解
海外のB2Bバイヤーは、検索エンジン、オンライン企業リスト、LinkedInなどを通じてサプライヤーを探します。こうしたバイヤーは、日本国内の購買担当者とは異なり、明確な製品の情報、製品がもたらす成果、技術の仕様や認定資格等の情報などを最も重視しています
日本企業における信頼性は、洗練されたデザイン、モバイル対応したUI/UX、シンプルなナビゲーション、そしてネイティブレベルの英語によって伝えられます。加えて、ケーススタディ、顧客の声や高い認知度の提示も、企業の信頼性を高めるにおいて重要な要素となります。一方で、洗練されていないUX、読み込みの遅さ、不自然な英語はバイヤーの離脱を即座に招く可能性があります。
2. Webデザインおよびコンテンツにおける文化的違い
日本のWebサイトは、情報の網羅性や形式の厳格さを重視する傾向があり、結果として情報量が多く、レイアウトが密集した構成になりがちです。これに対し、欧米のB2Bサイトでは、明快さ、簡潔さ、視覚的なシンプルさが重視されます。
欧米B2Bサイトの代表的な特徴:
- 明確なバリュープロポジションの提示
- シンプルで直感的なナビゲーション
- メリット重視のメッセージ構成
- 可視性の高いビジュアル設計
グローバル市場では、簡潔かつ明瞭な表現が、信頼性と専門性の証とされています。日本の訪問者が企業の沿革や詳細な説明を好むのに対し、海外の閲覧者は自分の課題を解決してくれる情報への迅速なアクセスを期待します。商習慣の異なる海外バイヤーのためには、単なる翻訳にとどまらず、目的に応じてWebサイト自体を再構成することが求められます。
3. 効果的な英語B2Bサイトを構築するためのガイドライン
バリュープロポジションの明確化
企業の製品やサービスが提供する価値、対象となる顧客、そしてそのメリットを明確に伝えることが重要です。抽象的な表現は避けましょう。
モバイルファースト対応のレスポンシブ設計
Webサイト、そしてサイト上のコンテンツはあらゆるデバイスで快適に閲覧できる構造になっている必要があります。メニューはシンプルかつ視覚的にし、主要なページには最小数のクリックでアクセスできるようにします。
CTA(コール・トゥ・アクション)と信頼要素
「お問い合わせ」「資料ダウンロード」など、明確で簡潔なCTAを各ページに配置します。あわせて、認定資格、顧客の声、過去の実績の例に挙げる企業のロゴなどのタッチポイントを提示することによりバイヤーとの信頼構築ができます。
ブランディングの一貫性
グローバル読者にとっての認知度が高まるよう、フォント、余白、レイアウトなどを最適化し、日本語サイトとのビジュアル整合性を保ちます。
プロフェッショナルな英語表現
業界用語を適切に用い、カジュアルすぎる表現や直訳調の文章を避けます。必要に応じて、専門性のあるネイティブライターの起用を検討しましょう。
4. 国際市場で有効なコンテンツ
国際市場における効果的なコンテンツ形式には以下が含まれます:
- 定量的成果を示すケーススタディ
- 技術文書・ホワイトペーパー
- 業界課題に焦点を当てたブログ記事
上記を含むサイト上のすべてのコンテンツは、見出しを明確にし、短く要点のまとまった段落構成にすることで、読みやすさを高める必要があります。専門用語の多用は避け、サイト上の用語の一貫性を保ちましょう。
日本語コンテンツはそのまま翻訳するのではなく、読者の文化背景を考慮してローカライズされた表現に書き換える必要があります。画像もグローバルなビジネスパーソンにふさわしいものを選定し、単位や業界用語の使い方にも注意を払うべきです。
5. 英語B2BサイトにおけるSEOの最適な方法
キーワードリサーチ
日本語の直訳は避け、ターゲットとなる英語圏ユーザーが実際に検索するキーワードを調査します。
オンページSEO
ページタイトル、メタタグ、見出し、画像のaltテキストなどにキーワードを適切に配置します。URL構造も見込み顧客用に設計します。
コンテンツ戦略
ブログ記事を定期的に更新し、製品や業界関連のロングテールキーワードを狙ったトピックをカバーします。
テクニカルSEO
サイトの表示速度を最適化し、モバイル対応、hreflangタグの使用、サイトマップの送信、内部リンクの整備などを行います。
6. よくある失敗とその回避法
- 直訳表現:単なる翻訳ではなく、読者の文化的違いや商習慣に応じて言い回しを調整することが必要です。
- 視覚過多のデザイン:活字体の情報は詰め込みすぎず、UIを最新の海外水準に合わせましょう。
- SEOの軽視:キーワード選定、タグの最適化、根本的なサイト構造の見直しが不可欠です。
- 信頼要素の不足:実績、認証、顧客の声を明示することで信頼性を高められます。
- モバイル対応の不備:スマートフォン対応は設計段階から考慮すべき前提条件です。
実例紹介:B2B英語サイトの成功事例
TSD Inc.(日本のB2B旅行テック企業)
TSD Inc.(東京都)は、Expedia Groupとの連携により、英語サイトおよび予約プラットフォームのUXを刷新しました。レイアウトや地図表示、CTAの表現改善を中心に再設計が行われました。
リニューアルの成果:
- 週次予約数が 38% 増加
- Look-to-book コンバージョン率が 30% 向上
- 空室詳細ページからのコンバージョンが 10% 増加
この事例は、UXとナビゲーションを国際基準に合わせることで、具体的な業績向上につながることを示しています。
TableSolution(日本の宿泊・飲食業向けB2B SaaS)
TableCheck(東京都)が運営するTableSolutionの英語サイト再設計では、月間営業問い合わせ数が 3倍 に増加しました。CMSの統一、デザインシステムの導入、UXの刷新により、グローバル市場に適した構成が実現されました。
主な改善点:
- ナビゲーション構造の簡素化
- グローバル市場対応のブランド設計
- 国際市場のニーズに応じたコンテンツ最適化
B2B企業への示唆:
- モバイル重視・CV最適化設計で成果向上
- 英語サイトの品質が国際展開の鍵
- 日本発企業であっても、国際的なUI/UX基準に準拠することで成功できる
これらの事例は、英語サイトが単なる翻訳ではなく、実用的かつ成果を生む「営業資産」であることを示しています。
まとめと次のステップ
英語のB2Bサイトは、単なる翻訳ではなく、戦略的なデジタル資産です。明確なメッセージ、信頼性のある表現、ユーザビリティを備えたサイト構成が求められます。
次のステップ:
英語サイトの構成、メッセージ、SEO対応状況を点検し、構造・表現・技術面での改善点を洗い出しましょう。日本と海外、双方のB2B市場に通じた専門家の支援を検討するのも有効です。
適切に設計された英語サイトは、国際市場へのゲートウェイとなります。
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